スプレンダー作業工程
2005年10月22日作業終了

十数年前だと思われる「スプレンダー/SPLENDOR」製を改造・リフィニッシュ製作します。
予定は・・・スキャロップ(リッチー型でエグレを浅く)、ピックガード変更、
SSHからリアハムはそのまま(PUは変更します)フロントをミニハムに変更、
塗装は元青色から、スーパーホワイトにリフィニッシュします。
(ネックも薄ラッカー仕様にします)
電気系統はリアハムを2芯から4芯へ変更後、トーンにスイッチポットを使用し、
リアハムをシリーズ・パラレル可能にします。
ナットはオイルナットへ変更しました(ナットファイルがダメになりそうで・・・


改造料金などを明記した方が、お客様のご希望の改造が解かりやすいと思い
各改造料金を明記します。



前の塗装を剥がし#320までのヤスリを終了後、サンディングを吹き、
スーパーホワイト塗装。一度に濃く吹かず、徐々に重ねていきます。
(上記写真のカッタウェイの木材の変わり目が一度では透けるくらいに薄く吹き、
徐々に塗り重ねることにより、下地を消します)
私は今まで、イングヴェイの様に白色の変色によるクリーム色が好きでしたが、
実際にホワイトを吹いてみると、この色も良い!パール風ピックガード、
メッキカバーPUを予想し考えると、すごく楽しみです。ご期待ください!!

・ボディーリフィニッシュ・・・塗装を剥がし、単色塗装〜バフまで¥32550〜
・ネックリフィニッシュ・・・塗装を剥がし、着色、ラッカートップ数回吹きの極薄塗装¥14700

ピックガード製作
元のピックガードを利用し、同じ物を作ります。
今回はPUを変更するので、PUを採寸し、数値によりPU穴などを空けていきます。
 
使用した材は「黒パール」とでもいうのでしょうか?鉛色のうねりが独特です。

パーツを仮組みしてみました。
トーンつまみを利用し、リアPUをシリーズ・パラレルにするため、2芯から4芯へ改造します。

今回の様に見本となるピックガードがある場合(外周の変更が無い)で、
ピックガード材を変更し、PU穴およびPU変更に関わるザグリ加工を合わせた料金・・
ピックガード穴加工一ヶ所¥2100、ピックアップザグリ一ヶ所¥4200


2芯から4芯への改造
スイッチポットを利用し、ハムバッカーをシリーズ、パラレル化させます。
そのために2芯のピックアップを4芯に改造しなければなりません。
  
このようにカバーされているPUは外さなければなりません。上手くハンダが溶けてくれればよいのですが、そうでない場合は刃物などで根気よく削るしかないですね。

PUの回りのテープを外すのですが、写真では個々のPUにテープが貼ってあり、コイルを
守っているのですが、中には剥き出しの物もあったりします。剥き出しの場合、PU周りの
テープを外す時に注意しないとコイルが断線する可能性があります。

写真左、2芯の配線をいったんばらし、
写真中、再配線により4芯に変更。右端に見えるシルバーの物は線シールドでPU台座に
ハンダ付けします。
写真右、元のテープは使用せず、導電テープを巻き、ハンダによりアースへ落とします。
PUカバーを戻し終了です。

2芯から4芯への改造・・・¥3675〜(PUの状態によります、通常の状態での料金です)
PU導電処理・・・一箇所¥1575(配線交換ご依頼の場合値引きあります。)


スキャロップ処理
指板はスキャロップにします。私の意見で申し訳ないのですが、あまり深いスキャロップは
弾きにくいです。これは私の弾き方が弦を押し付ける力が強いためで、フレットに引っかかる
感じや、ビブラートが弦を押し付ける力の関係で弾きにくい・・・。などがあります。
これは弾き方の問題で、タッチの軽い弾き方の人などは深くても問題ないでしょう。
今回のスキャロップのタイプは、(一般的に)リッチータイプと呼ばれる物で、
1Fから12F位まで、ブリッジ側で深く、ナット側で浅く傾斜していて、なおかつ
6弦側で浅く、1弦側で深く削り、指板のRも崩さず処理します。
12F以降は均等に「U字」で掘ります。
上記の理由で弾きやすさを考慮し、深さは極浅くしてあります。0.3mm程度の深さです。
推測ですが、ハーフ・スキャロップが近いと思われます。
(現CROSS HARD の大村孝佳さんの指板を意識しました。)

ヤスリ、小刀、削れる物は総動員します(笑)
フレットはそのままなので、傷などに注意します(作業後の仕上げは行ないます)
見た目の美しさも大切なので、ヤスリ傷を無くすのも手間が掛かります。
作業終了時にはレモンオイルなどでケアします。

スキャロップ加工料金・・・リッチタイプ・イングヴェイタイプなど、えぐり方、深さなど
お客様の好みに対応いたします(ネックの状態により無理な場合もあります)
1F毎につき¥1575で今回は21Fなので¥33075になります。
メイプル指板の場合塗装があるので¥10500アップになります。

配線作業・ノイズ対策
ノイズ対策のため、PU裏に導電塗料を塗ります。
ボディー内部のザグリにも同様の導電塗料を塗り、アースに落とします。
 
(PU配線は除く)配線材はベルデンの2芯単線網アース線の物を使用。
ハムであるため、2芯をまとめ配線します。
シングルコイルの場合、2芯のうち1本はホットへ、
もう1本は網線と一緒にアースへ落とすと効果があるそうです。
 
フロントPUがミニハムへ変更のため、邪魔な部分は削ります。
右の写真はスイッチポット用の追加ザグリです。リアPUのネジが長いための
ザグリも空けてあります。
こんな感じに組みあがります。
ピックガードが厚いため、PUの高さはピックガードギリギリの位置になっています。
スイッチクラフト製のジャックを使用しています。

ノイズ処理・導電処理料金・・・PU裏に導電処理をし、アースに落とします。¥3150
ザグリ内部に導電処理をし、アースに落とします。
¥5250
スイッチクラフト製ジャックへ変更(配線のご依頼の場合、パーツ代金のみ)¥630

ナット交換
当初ナットをアルミで考えて、実際作ってみたのですが、溝を切る際、溝切りヤスリの
はがダメになってしまいそうなので、急遽一般的なオイルナットへ変更しました。

ナット溝に厚み合わせ接着後、均等に溝を罫書き、各弦とも適正な高さになるまで
弦を張っては緩めナットから外す・・・を繰り返します。
ナット高さが終わったら余分なナットを削り、R加工などキレイにして終了です。

ナット交換料金・・・牛骨ナット込みで¥4200、オイル牛骨ナットは¥5250

組み上げ、調整
ナット取り付けも終わり、後はネックをつけて弦高調整などに入ります。
一応組み上げてみたところ、現状のままだと、ネックジョイントが浅く、
ブリッジの駒が弦高を低く出来ないくらい下がってしまっています。
これを解決するには、ブリッジの落としこみか、ネックポケットにスペーサーを入れ、
ネック全体を上げる方法が考えられます。ブリッジ落とし込みは現実的ではないため
ポケットにスペーサーを入れます。
アクリル板の厚みは2mm。
この状態で最終調整を行ないました。まあ、見た目に良くないってくらいで
通常使用には問題がないでしょう。

今回はちょっと特別でしたが、このようにスペーサーを作り、ネックセット調整などで
¥10500〜(状況判断によります)

作業終了
 

作業終了しました。
音の印象は、PUがあまりハイパワーでないため、ちょっと大人し目な印象で中低域
に特徴がある感じがします。なにより、浅めのスキャロップが異様に弾きやすい!
「異様」というのはちょっと言葉が違う気がしますが、けれどここまで弾きやすいとは・・・!。
ジャンボフレットだとフレットに引っかかる感じがする、
深いえぐれだと同じく引っかかる感じと、1〜3弦の弦押し時痛いと感じることがありましたが、
・09の弦との相性がバッチリで全てが解消されています。

作業後記
弦高は1弦で2mmよりちょっと下、6弦で2・2〜2・3位で多少ビビリがあるかな・・・?
弦高が高く弾きにくいということはありません。
ルックスの面もかなりカッコ良くなりました。スーパーホワイトボディーに、黒パール、
シルバーカバーのPUのルックスのバランスが良いです。
難点は、廉価モデルに良くある「ペグ」の精度の悪さです。このギターに付いている物は
まだましなのですが、もっと安っぽい物も良くあることです。現在もアームを使わなければ
狂いは少ないのですが、激しくアームを使うとやはり狂ってしまいます。
もう一つは、ネックセット部のスペーサーでしょうか。
普通に使っている分には現在の所、何の問題もありません。
2mm程ネックを上げたため、ネックビスの深さが浅くなっています。
解決策としてプレートを外し、ビスで直付けすれば解消します。
けれどこのような問題も一蹴してしまうほどの弾き易さと、ミニハムによるフロントPUの
音の良さがあります。
パーツのグレードを上げるなどすれば、
廉価ギターでも戦力的にも生まれ変わらせることができます!


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